February 19, 2008

東芝のHD撤退に株価好感、損失額・ブランド低下は限定的の見方

 東芝が、新世代DVD規格の「HD DVD」事業から撤退する方針が先週末、明らかになり、週明け18日の東京株式市場で、同社株は前営業日比45円高(5.74%高)の829円で取引を終えた。

 ソニーなどが推進する「ブルーレイ・ディスク(BD)」方式との規格争いで敗色濃厚となり、早期に見切りをつけたことが、同社の「選択と集中」路線に沿った判断と市場関係者からは評価されたようだ。また、撤退に伴う損失額や東芝ブランドへの悪影響は限定的との見方が出ている。

 東芝は近年、原子力など社会インフラ、半導体など電子デバイス、パソコンや薄型テレビなどデジタル製品の3分野を中核に据えながら事業の選択と集中を進め、総花的な「総合電機」路線からの脱皮を図ってきた。今回のHD事業撤退の方針が明らかになり、中核分野であっても必要であれば事業の絞り込みを行うとの方向性が示された形だ。

 大和総研のアナリスト、佐藤雅晴氏は、ロイターの取材に対し、「HD事業撤退が事実ならば」と前置きしつつ、「東芝の業績はHD事業の動向が不透明要因になっていたが、それが払拭されることになり、2008年度以降の業績にはポジティブな動きと考える」と語った。同氏は、「悪い状況を引きずる最悪のシナリオの回避になる。西田厚聡社長をはじめ経営陣の決断の早さは評価できる」と述べた。

 撤退に伴う損失額について、ロイターを含めた各メディアは数百億円規模と報じている。しかし、ゴールドマン・サックス証券のアナリスト、松橋郁夫氏は、「損失はせいぜい100億円とみている。100億円より少ないかもしれない」と述べた。同氏は、「損失は在庫処分や生産設備で発生するが、それほど大きな損失にならない」と強調。HD方式を支持する映画会社などパートナー企業へのペナルティー(違約金)の発生についても「(パートナーも)ビジネスなので、ダメなときは撤退するものと受け止めている」と語り、多額の違約金が生じる可能性に否定的な見方を示した。

 HD方式を主導する東芝が撤退すれば、同方式による高画質の映画ソフトの供給は今後、打ち切りになるのは確実とみられ、プレーヤーやレコーダーを購入した消費者への不利益は避けられない。しかし、松橋氏は「消費者への賠償金も考えづらい」と語った。

 東芝が最初にHD方式の機器(プレーヤー)を発売したのは2006年3月。わずか2年足らずで撤退の方針が伝わったことで、民生機器分野での東芝ブランドへの影響も気になるが、専門家からはさほど深刻ではないとの声も聞かれる。ブランド戦略のコンサルティング会社、インターブランド(本部ニューヨーク市)東京オフィスの田中英富氏はロイターに対し、「二つの方式(HDとBD)があって、どちらが勝つのかはっきりしていない段階で購入する人は、HDがダメでも、すぐにBDを買って楽しむと思う」と指摘する。同氏は「HD以外で良い製品を出していけば、東芝はブランドイメージを維持できるのでは」としている。

(出展:ロイター通信)

 ニュースの内容とは外れるが、週末に明らかになった東芝の「HD」事業撤退から、週明けの株取引を引き合いに出し、また実に専門家3人の意見を加えてのすばらしい記事だなと思います。

Blog Mura News

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